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じぶんのはなし

書評に変えて(短歌集の感想)

歌集『二月と三月と三月と四月』について、書評を書いていただきました。 書いた人:OPさんさん(おともだち)  短歌集を開くと、写真にも映像にも残り得ない〈視線〉という物質の伴わない記憶が並んでいた。記憶を越える言葉はな...
じぶんのはなし

歌集『二月と三月と四月』

令和四年の二月の暮れ、おばあちゃんは亡くなった。おばあちゃんと私は、亡くなるまでの六年と少しの間、二人で一緒に暮らしていた。(中略)おばあちゃんと過ごす約六年間は、全てが幸福とはもちろん言いきれないけれど、それでも幸せだった。ふとした日...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(4/4)

(その間、1060日) PM 23:47 あの頃の自分ならどうしていたっけ。いつもより長く感じる時間の中でふと手を止めて時計を見つめる。あの頃の自分ならどうしていただろう。あの頃から幾度も繰り返した23時47分はいま15秒経っ...
みじかいもの

駆け出していく

アスファルトを蹴る度、擦れる靴裏に火花が走ってるみたいな気がした。いつからこうして走っているのかもうよく覚えていない。いつぶりにこうして走っているのかもきちんとは思い出せない。思い出そうとするよりも今は、間に合うのか間に合わないのか、そこ...
ブルウ - シリーズ

よだかの子ども | 01.はなさき

かたくなな人だと、あやねは思った。 アパレル店員なんて職についていると、日々様々な人間に出会う。その中でも頑なと呼ばれる人は、一言でそう言ってもひとつには絞れない複雑さを持っていた。自分に似合う服やかたちを理解している人、サイズは絶...
みじかいもの

あのこにミルク

「シロ」 佐和が笑っていた。ぼろぼろに疲れているくせに笑っていた。どうしたってひとりなんだよどうしようとにこにこ笑いながら、笑う、笑う、笑う。かわいいなあ、大事だなと思うのに、思うせいで、心を真似して身体までもが佐和をかわいいなあと...
ブルウ - シリーズ

どこから間違いだったのかしら

小論文の授業はみんな指定された教室へと散らばるからとても楽だ。教室、情報処理室、図書室。まだこの課題は始まったばかりのものなので、大抵は調べものをしてくる、と言って教室を離れていくし、自分はあまりやる気がないけれどグループの人間が移動する...
じぶんのはなし

実家の祖父が亡くなった日

実家の祖父が亡くなった日。中学二年の春だった。私はいつものように、離れからやってきた祖父を無視した。離れにもトイレはあるのにどうしてわざわざうちに用を足しに来るんだろうと、あからさまに顔を背けた。当時の私は多分、親に向けることができない反...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(3/4)

PM 13:00 窓の奥の首都高やビルの屋上の縁を誰かが歩いている。そうやって眺めている日のことをわたしは快晴と呼ぶ。変わりばえのしないサンドイッチも、野菜スティックも、水筒にぶち込んだただの水も。ぼんやりと何もかもが白く滲んでいく...
ブルウ - シリーズ

やはり親友とかいうやつはいいもんでもない

扉から出てまず確認することは自分以外にこの場所の利用者はいないか、ということだった。統一されたクリーム色の扉が、全て開け放たれていることを確認してまず一息。そうしてからおぼつかない足取りで手洗い場まで進んで、鏡越しの自分の顔色を眺めてから...
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