ブルウ - シリーズ

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よだかの子ども | 01.はなさき

かたくなな人だと、あやねは思った。 アパレル店員なんて職についていると、日々様々な人間に出会う。その中でも頑なと呼ばれる人は、一言でそう言ってもひとつには絞れない複雑さを持っていた。自分に似合う服やかたちを理解している人、サイズは絶...
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どこから間違いだったのかしら

小論文の授業はみんな指定された教室へと散らばるからとても楽だ。教室、情報処理室、図書室。まだこの課題は始まったばかりのものなので、大抵は調べものをしてくる、と言って教室を離れていくし、自分はあまりやる気がないけれどグループの人間が移動する...
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やはり親友とかいうやつはいいもんでもない

扉から出てまず確認することは自分以外にこの場所の利用者はいないか、ということだった。統一されたクリーム色の扉が、全て開け放たれていることを確認してまず一息。そうしてからおぼつかない足取りで手洗い場まで進んで、鏡越しの自分の顔色を眺めてから...
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その唇からは林檎と蜂蜜の香りがした

情景の表現なんて豊かに並べていられない。吹きすさぶ風を受ける私の心の中はただただ寒い、寒いとだけ繰り返していた。一時間に一本しか通らない電車はつい十分前にこの駅から発車したところで、たった一両きりの水色の車両がそうして走り去っていくのを、...
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