詩のようなもの

詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(4/4)

(その間、1060日) PM 23:47 あの頃の自分ならどうしていたっけ。いつもより長く感じる時間の中でふと手を止めて時計を見つめる。あの頃の自分ならどうしていただろう。あの頃から幾度も繰り返した23時47分はいま15秒経っ...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(3/4)

PM 13:00 窓の奥の首都高やビルの屋上の縁を誰かが歩いている。そうやって眺めている日のことをわたしは快晴と呼ぶ。変わりばえのしないサンドイッチも、野菜スティックも、水筒にぶち込んだただの水も。ぼんやりと何もかもが白く滲んでいく...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(2/4)

AM 07:58 あなたがむいたりんご、次の日には茶色くなっていました。ひとつひとつ丁寧に食べたかったのに、どうしても叶いませんでした。わたしは塩水の味が苦手だとぐずり、あなたはたしなめながら浸けてくれた。そのりんご、ずっと食べてい...
詩のようなもの

君の背中の奥ひらく晴天はいつもさみしい色だ

君の背中の奥ひらく晴天はいつもさみしい色だ。これきりにしないよう必死に伸ばした右の手が彼の制服の裾を摘まんで、きゅうとちいさく引き寄せようとした。戸惑うように振り返った彼は僕の顔を見て更に動揺して、声にもならず開いた唇が「なんだ」と動いた...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も (1/4)

AM 01:35 夜の底に落っこちたつもりだったのに、短針はひとつぶんしか進んでいなかった。おかしいなと身体を起こして辺りを見渡す。ひとりきりの真夜中とひとりきりの水族館はよく似ている。といっても、僕はひとりきりで水族館に行ったこと...
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