詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も(2/4)

AM 07:58 あなたがむいたりんご、次の日には茶色くなっていました。ひとつひとつ丁寧に食べたかったのに、どうしても叶いませんでした。わたしは塩水の味が苦手だとぐずり、あなたはたしなめながら浸けてくれた。そのりんご、ずっと食べてい...
詩のようなもの

君の背中の奥ひらく晴天はいつもさみしい色だ

君の背中の奥ひらく晴天はいつもさみしい色だ。これきりにしないよう必死に伸ばした右の手が彼の制服の裾を摘まんで、きゅうとちいさく引き寄せようとした。戸惑うように振り返った彼は僕の顔を見て更に動揺して、声にもならず開いた唇が「なんだ」と動いた...
詩のようなもの

夜も朝も昼も夜も (1/4)

AM 01:35 夜の底に落っこちたつもりだったのに、短針はひとつぶんしか進んでいなかった。おかしいなと身体を起こして辺りを見渡す。ひとりきりの真夜中とひとりきりの水族館はよく似ている。といっても、僕はひとりきりで水族館に行ったこと...
ブルウ - シリーズ

その唇からは林檎と蜂蜜の香りがした

情景の表現なんて豊かに並べていられない。吹きすさぶ風を受ける私の心の中はただただ寒い、寒いとだけ繰り返していた。一時間に一本しか通らない電車はつい十分前にこの駅から発車したところで、たった一両きりの水色の車両がそうして走り去っていくのを、...
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